ITARについて

 国際武器取引規則(ITAR)では、安全保障関係に関連する可能性の高いハイスペックな貨物、技術データなどの知財関連品目の取り扱いについて、幅広い行政裁量を米国政府に認めており、改正の多い行政規則の一つです。

 



【1】 ITARについて

 ITARとは、International Traffic in Arms Regulations ("ITAR," 22 CFR 120-130)として米国製の武器関連品目・技術の取引を規制する米国の行政規則の一つで、国務省(DOS)の武器取引管理局(DDTC)が所管しています。

 ■米国国務省DDTC Homepage:https://www.pmddtc.state.gov/index.html

 

 EARは、汎用製品に関する規制を取り扱っていますが、ITARは軍事用途に着眼した規制です。域外適用の効力がありますので、日本企業であっても、販売代理店契約などにより米国製の規制品目を取り扱う場合、ライセンス契約により国産化する場合、米国の技術者からのコンサルティングを継続して受ける場合などはITARの適用行為となるため、注意が必要となります。

 

 最近では宇宙関連のベンチャー企業が活躍する中、本規則の深い理解が必要となっています(通常は、TAAによる契約承認手続を受けます)。

 

 

【2】 ITARで規制される行為は?

 ITARは、USML(米国軍事品目リスト)記載の製品、技術などを輸出(Export)、再輸出(Re-export)、再移転(Re-transfer)を規制します。用語の定義はITAR§120に規定されていますが、米国輸出改革(ECP)により改正が頻繁であるため、最新の法令の確認に注意が必要です。

 

  (a) Reexport, except as set forth in §126.16 or §126.17, means:

   (1) An actual shipment or transmission of a defense article from one foreign country to another foreign country, including the sending or taking of a defense article to or from such countries in any manner;

   (防衛貨物を第三国間での移転は規制されます。再輸出規制の根拠となります。)

 

  (b) Any release outside the United States of technical data to a foreign person is deemed to be a reexport to all countries in which the foreign person has held or holds citizenship or holds permanent residency.

   (合衆国外で、防衛技術データを外国人へ提供することについても規制対象です。

 

 

【3】 具体的な事例

 ITARに関するビジネスとしては、最近では宇宙ビジネスに関連したケースがあります。

 

 例えば、原子時計などの正確な時刻計測のできるユニットを米国から輸入搭載し、海外のロケット発射場から宇宙空間へ射出する、開発した衛星などの宇宙飛しょう体の管理権を第三国へ移転する、衛星搭載についてロケットインターフェースについて、搭載側に技術資料を提供する・・・といった場合があります。その他にも、純粋な軍用品目に対する取扱もあります。

 

 

(出典)内閣府準天頂衛星システムHP一部抜粋